先日出版した「財務3表一体理解法」という本が売れに売れている。本が売れると僕には印税が入ってくる。どこまで売れるか分からないが、獲らぬ狸の皮算用で、お金が入ってきたら何に使おうかなと考える。先ずは、大画面テレビを買って、オープンカー買って、もっとたくさん印税が入ってきたら大きな家に引っ越して、なんて想像してみる。
しかし、こんなことを想像しても全然ワクワクしない。高級車に乗って、大きな家に住んでも幸せになれないことなど既に分かっているからだ。多分、高級車なんかに乗っても僕はすぐに飽きるだろう。大きな家に住んでも遊びに来てくれる人もいない生活では寂しい。ご近所の方々と玄関先の道路で、大口あけて笑いながら人の悪口を言っているような今の小さな家が僕にとっては幸せだ。
食うにも困る時代を経験してきているので、お金がないのは本当にみじめだし辛い。けれどお金があっても幸せにはなれないと思うのだ。色んな人と話をしていて「人に喜んでもらう」「人の役にたてる」という感覚は多くの人に共通する高い幸福感だ。私の場合はそれに加えて、「何か新しいものを創りだす」「何かを企画する」みたいなことが一番の幸せ感につながっている。だから、人生の中で仕事が一番楽しいと思うのだ。この2つを同時に満たすことができるから。そういう意味でも仕事の対象なんか何でもいいと思っている。だってどんな仕事だって「人の役にたてる」「何か新しいものを創りだす」ことは出来るから。
このような幸福感を継続して味わっていけるようになるにはどうしたらよいか。それはやはり人様が認めてくださる高い成果を出すことだ。しかし、それはそう簡単なことではない。では、どうするか。やはり、僕は日々「誠実に一生懸命」に目の前の仕事をするしかないと思う。目の前の人や自分の周りにいる人の役に立つために、ただ「誠実に一生懸命」に目の前の仕事をやるしかないと思うのだ。
「本をヒットさせる秘訣は何ですか?」聞かれた。抽象的だけど「無欲」と言うことかなと思う。先日出版された会計の本は、僕の顧問先の社長さん達に簿記を勉強せずに簡単に会計の本質を分かってもらうためにはどうすればよいかを考えていて生まれたものだ。社業の調子が良くない会社の社長は銀行と交渉しなければならない。その時、社長の横に座ったコンサルタントが代わりに交渉してはダメなのだ。社員を守るために、社長自らが交渉しなければならない。そんな時、社長がBS(貸借対照表)も読めなければ話しにならない。そんな社長さん達のためだけを考えて作ったのがあの本なのだ。
その後、この会計勉強法を使って研修を行いだしてからは、ただ受講生に分かり易くすることだけを考えて毎回テキストを改訂していった。本を出すことなど考えてもいなかった。ただただ、目の前の受講生の方々がガッカリする顔を見たくなかっただけだ。上杉鷹山が言われた「真心は慈愛を生む。慈愛は知識を生む。真心さえあれば不可能なものはない。」という言葉に近い感覚かもしれない。
先日、顧問先の部長さんと話をしていたら「僕は学歴がないので劣等感を感じる」と言われた。そういう気持ちが分からないでもない。しかし、学歴があるとかないとか、頭が良いとか悪いとか、顔がキレイだとかブサイクだとかはどうしようもないものだ。それよりも、人間として「誠実に一生懸命」生きているかどうかの方が格段に大切だと思っている。もし、「誠実に一生懸命」に目の前の仕事をやっていない人がいたら、僕はその人を軽蔑することがあるかもしれない。しかし、自分の仕事を「誠実に一生懸命」さえやっていれば何に劣等感を感じる必要があるだろうか。だれの前に出ても堂々としていられると思うのだ。「誠実に一生懸命」 生きていく上で大切にすることは、取り敢えずそれだけでいいんじゃないかと思う。
早いもので、今回で予定していた35回のコラムも終わりになりました。毎回読んで下さり誠にありがとうございました。読者の皆様の御健康とご活躍を祈りながら筆を擱きます。
|
|